コピートレードやミラートレードの違法性に関する記事です。
コピートレードやミラートレードが違法なのか知りたい方に向けて、コピートレード・ミラートレードの違法性や海外FXと国内FXにおける違いをプロバイダー、フォロワー、FX業者の各立場から解説します。
コピートレードは違法か【国内FXと海外FXでの違い】
結論から述べると、コピートレードを利用して取引する分には違法ではありません。
ただし、FX業者・プロバイダー・フォロワーのどの立場なのかによって、違法となる基準が異なります。
ここではまず、日本人はコピートレードを利用できるのか?という点も含め、国内FX業者と海外FX業者のコピートレードの違法性を個別に解説します。
コピトレのプロバイダー・フォロワーって何?
コピートレードには以下2種類の立場のトレーダーが存在します。
- プロバイダー:取引シグナルを提供する側(配信者)
- フォロワー:取引シグナルをコピーする側(投資家)
プロバイダーは、自分の取引を他人(投資家)にコピーさせ、トレードで利益を出した場合、投資家たちから手数料として報酬を得るトレーダーです。
一方、フォロワーは、利益の一部を手数料として払う代わりに、取引が上手な人(配信者)を選び、トレードをコピーさせてもらうトレーダーです。
国内FXにおけるコピートレードの違法性
国内FXのコピートレードは、「投資助言・代理業者」の資格がない場合は違法となります。
日本では資格を持たない者が顧客の投資者に対して金融商品の購入について助言したり、代理で資金運用を行うのは違法だからです。
国内FX業者が無登録でコピートレードを提供するのは違法
国内FX業者は、「投資助言・代理業者」の登録をせずに、コピートレードを提供すると違法です。
日本でコピートレードのサービスを提供するためには、金融商品取引法第29条に基づき「投資助言・代理業者」の登録を受ける必要があるからです。
この登録には、時間もコストもかかるため、現在国内で正式にコピートレードを導入している業者はごく僅かです。
プロバイダーが無登録でコピートレードの報酬を得るのは違法
コピートレードのプロバイダーが、「投資助言・代理業者」の登録なしに、フォロワーから報酬を得ると違法です。
金融商品取引法では、コピートレードで取引シグナルを提供するのが、投資の助言・代理だと見なされるためです。
そのため、国内FXで合法なプロバイダーとなるには、報酬を得るために登録業者となるか、無報酬で取引シグナルを提供するかの2択になります。
フォロワーが無登録のコピートレードを利用すると法的処罰の対象となる
フォロワーの場合は、「投資助言・代理業者」に無登録の業者が提供するコピートレードを利用すると違法になる可能性があります。
金融商品取引法で規定しているのは、コピートレードの提供者側についてですが、無登録と知りながら違法業者のサービスを利用し、利益を享受した場合は法的処罰の対象となることがあります。
国内FXのコピートレードを利用する際は、その業者が「投資助言・代理業者」の資格を持っているかどうか事前に確認しましょう。
- 投資助言・代理業者の登録があるかどうかが合法or違法の判断基準。
- 無登録のプロバイダーが報酬を得ると違法。
- フォロワーが無登録業者のコピートレードを利用すると違法。
海外FXにおけるコピートレードの違法性
日本の「投資助言・代理業者」に登録していなくても、海外FXのコピートレードは、FX業者・プロバイダー・フォロワー共に違法にはなりません。
これは、海外FXが日本金融庁の規制対象外となるためです。
しかし、海外FX業者が日本居住者に対し、投資の勧誘や営業を行うと日本の法律で違法となります。
海外FX業者がコピートレードを提供するのは違法ではない
海外のFX業者では、多くの場合、日本の「投資助言・代理業者」の有無に関わらずコピートレードを提供することが可能です。
各海外FX業者が取得している金融ライセンスでコピートレードが禁止されていなければ、その業者は合法でコピートレードを提供していることになります。
しかし、日本居住者に対して海外のコピートレードを促すような勧誘を行ってはいけません。
プロバイダーが海外FXでコピートレードを行うのは違法ではない
海外FXのコピートレードでは、プロバイダーが「投資助言・代理業者」に無登録で取引シグナルの提供を行い、報酬を得ることは違法ではありません。
法律上はコピートレードを提供する事が可能ですが、日本居住者に対して、自分のコピートレードを提供したり、勧誘したりするのは違法です。
フォロワーが海外FXでコピートレードを利用するのは違法ではない
日本居住のフォロワーが海外FXのコピートレードを利用しても違法にはなりません。
海外FX業者を利用するかどうかは、投資者の自己判断に委ねられます。
ただ、日本より規制が緩めの海外では、コピートレードを提供する業者も多い反面トラブルも起きやすく、投資者は慎重に行動する必要があります。
- 海外FXのコピートレードは提供・利用どちらも日本の法律に抵触しない。
- コピートレードを提供する業者は多いが、その分トラブルも起きやすい。
日本がコピートレードを規制した経緯
今でこそ日本ではコピートレードはマイナーな存在ですが、過去(2010年頃)にはミラートレーダーという海外のプラットフォームが積極的に導入され、当時はミラートレードとして日本人にも周知されかけました。
しかし、この当時「上級者の取引をコピーできる=必ず儲かる」という誤った認識を持ってコピートレードを始めた人が多く、その結果「宣伝の通りの利益が出なかった!騙された!」といったクレームが多数金融庁に寄せられました。
それ以降、金融庁は「コピートレードのように複雑な管理が必要になるシステム」が国内に氾濫しないよう一層厳しく規制するようになりました。
ミラートレード(システムトレード)の違法性
ミラートレードには、「自動売買ツールを使った取引」と「実在トレーダーの取引をコピーする取引」の2種類があります。
上記の2種類で自動売買システムを利用した「ミラートレード」は国内FX・海外FXを問わず違法ではありません。
これは、金融庁が「不特定多数の人が自分の判断で自由に利用できる自動売買ツールは資格が必要ない」としているからです。
金融庁による投資助言・代理業に該当しないケースの詳細
金融庁の「監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)」のページを見ると、EAによるミラートレードは、投資助言・代理業に該当しないということが分かります。
投資助言・代理業に該当しない行為
イ. 不特定多数の者を対象として、不特定多数の者が随時に購入可能な方法により、有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断(以下「投資情報等」という。)を提供する行為
例えば、以下aからcまでに掲げる方法により、投資情報等の提供を行う者については、投資助言・代理業の登録を要しない。
//中略
b. 投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売
(注)販売店による店頭販売や、ネットワークを経由したダウンロード販売等により、誰でも、いつでも自由にコンピュータソフトウェアの投資分析アルゴリズム・その他機能等から判断して、当該ソフトウェアを購入できる状態にある場合。一方で、当該ソフトウェアの利用に当たり、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータ・その他サポート等の提供を受ける必要がある場合には、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。
国内外でコピートレードに温度差がある
コピートレードを提供するには難しい資格の取得が必要な日本と、そのような足かせの無い自由な海外。ここまで比較してお分かりかもしれませんが、実際かなり対照的な状況となっています。
海外でのコピートレードは今後も発展
海外ではFinTech(Finance+Technology)の成長から、コピートレードサービスの提供を行うブローカーが増えています。
そのパイオニアは、eToro(イートロ)というイスラエル発の業者で、2007年に設立されてから着実に人気を集め、現在世界中に2,700万人以上の利用者がいます。
eToroはSNS機能とコピートレードを合体させたサービスを提供しており、世界中のトレーダーがお互いの意見を交換しながらコピートレードを楽しんでいます。
残念ながら、金融庁の規制下にある日本ではeToroは運営を行うことができず、現状日本居住者の参加も不可能となっています。
国内のコピートレードには限界あり
日本では、「コピートレード=違法」という発想が根付いている状況です。
時間もコストもかかる資格をわざわざ取ってまでコピートレードサービスを提供しようという国内FX業者は少なく、プロバイダーも報酬が得られないのではモチベーションが上がりません。
この現状がある限り、今後も国内FXのコピートレードが発展していくとは考えにくく、もしあなたがコピートレードの利用を検討しているなら、海外FX業者のコピートレードを調べてみるのも良いでしょう。
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