FXにおけるコピートレード(ソーシャルトレード/ミラートレード)に関する基礎的な解説記事です。
コピートレードは、ソーシャルトレードやミラートレードとも呼ばれるFXの取引手法です。
コピートレードについて知りたい方に向けて、コピートレードのシステムやお金の流れ(報酬体系)を解説しつつ、MAM/PAMMやEAとの違い、利用するメリットデメリットを掲載しています。
コピートレードとは?システムとお金の流れ
コピートレード(ソーシャルトレード)とは、他人の取引をコピーして行うトレード方法で、優秀なトレーダーのエントリーと決済タイミングを自分の取引に複製して利益を狙うトレード方法です。
コピーされている側のトレーダーが儲かれば、コピーしている側のトレーダーも儲かる取引手法ですが、その逆もまた然りです。
- コピートレードってどんな取引方法?
- コピートレードの具体的な仕組みは?
- コピーする側、コピーされる側のお金の流れは?
具体的にどんな方法でコピートレードが行われるのか、コピーする側、コピーされる側の双方の立場で解説していきます。
コピートレードとはどんな取引方法?
コピートレードとは、1つの親口座の「エントリー/決済タイミング」を子口座にも複製し取引する手法です。
例えば、親口座トレーダーA氏の取引を、子口座トレーダーB氏、C氏、D氏が自分の口座にコピーした場合、全トレーダーの各口座のエントリー決済タイミングがほぼ同時になります。
ただし、実際に取引を行っているのは親口座のA氏のみで、子口座のB氏、C氏、D氏は、A氏の取引を眺めているだけです。
このように、コピートレードは上手なトレーダーを選ぶだけという手軽さから、経験の浅い初心者や取引に専念できない方を中心に、海外での人気が高まっています。
コピートレードとソーシャルトレードとミラートレードの違い
コピートレードと並んで、ソーシャルトレードとミラートレードという名称もありますが、これらはほぼ同じものを指していると考えて問題ありません。
ただし、コピートレードとソーシャルトレードは、親(コピー元)となるトレーダーの注文タイミングを子(コピー先)の口座に複製する取引方法となります。
一方、ミラートレードは、親となるのがトレーダーではなくストラテジー(自動売買プログラム)ということになります。
親となるのがトレーダーかプログラムかという点で呼び方が異なります。
コピートレードの仕組み、プロバイダーとフォロワー
続いて、より具体的なコピートレードの仕組みを確認しましょう。コピートレードには以下2種類の立場のトレーダーが存在します。
- 取引シグナルを提供する側(プロバイダー)
- 取引シグナルをコピーする側(フォロワー)
フォロワーが任意のプロバイダーをフォローすることで双方の口座が紐付けられ、プロバイダーの取引シグナルがフォロワーの取引口座に反映されます。
- フォロワー:取引をコピーさせてもらう代わりに、利益が出たら報酬をプロバイダーに支払う。
- プロバイダー:取引をフォロワーにコピーさせてあげる代わりに、利益が出たら報酬を受け取る。
※各トレーダーを指す名称はFXサービスの提供者により異なる場合があります。
コピートレードのお金の流れ(手数料)
フォロワーとしてコピートレードを利用した場合、プロバイダーに支払う成功報酬(手数料)が必要です。
ここでは、利益が出た場合と損失が出た場合のお金の流れをそれぞれ確認して、コピートレードというシステムがどのように運営されているのか見ていきましょう。
コピートレードで利益が出た場合
コピートレードでは、プロバイダーは取引利益を全額獲得できますが、フォロワーの場合はプロバイダーへの成功報酬が自動的に引かれるので、利益額はその分少なくなります。
多くの場合、成功報酬は「その取引で得た利益の○%」と定められており、その割合は業者やプロバイダーによって異なります。
なお、システムを提供するFX業者は取引毎にスプレッドを双方から徴収して収入源としています。基本的にFX業者がコピートレード使用料を別途請求することはありません。
例外的に、サブスクリプション(定額制)方式を採用している業者もあります。
コピートレードで損失が出た場合
コピートレードで損失が出た場合、当然フォロワーもプロバイダー同様に損失を被ることになります。
この場合、プロバイダーへの報酬は請求されず、純粋に取引で発生した損失分のみが双方の口座から減額されます。
- コピートレードで利益を得た場合、その利益からプロバイダーへの成功報酬が差し引かれる。
- 取引で負けてしまった場合は、報酬を払う必要はない。
- システムを提供するFX業者は、双方からスプレッドを徴収することで収益を得ている。
国内FXのコピートレードでは、プロバイダーは報酬を受け取れません。
日本国内でコピートレードを提供する場合、金融庁の定める「投資助言・代理業者」の資格が必要になり、多くのプロバイダー(個人トレーダー)はこの資格を所持していないためです。
プロバイダーには、国内FX業者で取引シグナルを提供するメリットがほぼない状態なので、優秀な日本人プロバイダーは海外FX業者で配信しています。
MAM・PAMM、EAとの違いは?
コピートレードと同様に、放っておくだけで利益を出せる可能性がある取引方法として、MAM(マム)やPAMM(パム)、EAやシストレ(自動売買)といったものもあります。
投資者が自分で取引する必要がない面は共通ですが、異なる性質も多いので整理しましょう。
- MAMとは:
「Multi Account Manager」の略。プロトレーダーに運用を委託する手法。取引履歴を確認できる。 - PAMMとは:
「Percentage Allocation Management Module」の略。プロトレーダーに運用を委託する手法。損益の結果のみ確認できる。
MAM・PAMMとの違いは?
コピートレードと混同されることが多いMAM・PAMMですが、双方の間には明らかな違いがあります。
以下で、特にきちんと理解しておくべき相違点を紹介します。
根本的な概念の違い
そもそも、コピートレードとMAM・PAMMでは根本的な概念が異なります。
「コピートレードは取引の複製」ですが、「MAM・PAMMは取引の委託」です。
コピートレード
コピートレードは、プロバイダーがプロバイダー自身の口座で取引し、それを信号化してフォロワーの口座に反映させるだけです。
つまり、プロバイダー的には通常通り取引を行って、その取引内容が自動的に他人の口座にも反映されている、といった感覚です。
MAM・PAMMとは
一方、MAM・PAMMとは、複数の投資者がプロトレーダーに資金を託して、自分の代わりに取引してもらうトレード手法なので、投資信託のイメージに近くなります。
MAM・PAMMで投資者に代わって取引するのは、FX業者に雇用されているプロトレーダーが多いですが、依頼者のお金を預かるという性質上、お金を狙う偽物トレーダーが潜む可能性に注意しなければなりません。
取引に関与できる度合い
取引を任せる側の立場で考えた場合、取引に関与できる度合いはコピートレードの方が圧倒的に高いです。
コピートレード
一般的に、コピートレードでは、フォロワーが自分でポジションを決済して出金することができる上に、いつでもフォロワーの判断で自由にコピーを止めることが可能です。
MAM・PAMM
MAM・PAMMにはロックアップ期間(最低1ヵ月~)という契約期間が設定されており、この期間中、投資者は運用を停止することができず、決済や出金も一切行えません。
もし万一取引を任せた相手が悲惨なトレードを行った場合、コピートレードであれば投資者が自分の意志で取引を止められますが、MAM・PAMMの場合は、取引を途中で止めることはできません。
投資額の自由度
コピートレードの投資額はフォロワー自身で決定できる一方、MAM・PAMMではプロトレーダーに決定権がある場合が多いため、投資額の自由度が大きく異なります。
コピートレード
コピートレードでは、プロバイダーから取引に必要な証拠金額を指定されることは基本的にありません。
(推奨証拠金額が提示されている場合もあります)
そのため、自分の資金力に応じて無理なく投資額を設定することが可能です。
MAM・PAMM
MAM・PAMMの場合、証拠金額は予めプロトレーダーから指定されることが多く、比較的高額な資金が必要となります。
EAやシストレ(自動売買)との違いは?
EAやシストレ(自動売買)とコピートレードの最大の違いは、取引に反映するソースが「プロバイダー(実在するトレーダー)」か「事前にプログラミングされたシステム」かです。
コピートレードではプロバイダーの取引をコピーして、利益が出た時にだけ成功報酬を支払う形になりますが、EAを利用する場合、目的に応じたEAの購入とVPSの月額契約・設定が必要です。
EAの値段には幅があり、無料のものから数十万するものまで様々です。
長期的に安定して勝てるEAはまず見つからないので、システムを組み合わせてリスクを減らしたり、EAを使うタイミングを厳選したりと、自分なりの工夫が必要になります。
コピートレードのメリットとデメリット
個人的に「コピートレードは、MAM・PAMMに自由と透明性をプラスし、EAやシストレ(自動売買)に裁量取引の柔軟性をプラスした、メリットの多い取引方法」だと感じます。
以下に、私の思うコピートレードのメリットとデメリットをまとめました。
コピートレードのメリット
コピートレードは、好きなトレーダーを選択するだけで取引が行える手軽さが一番のメリットです。自分で裁量取引を行う場合に比べて、メンタル面での負担も和らぐでしょう。
また、プロバイダーの取引履歴は全て確認することができるため、新米トレーダーは成績のいいプロバイダーをフォローして、取引方法の勉強にも役立てられます。
- VPS不要で初期費用が安く、手軽に始められる
- 勝っているトレーダーの取引をコピーできるので利益を出せる可能性が高い
- 自分で取引する時間がなくてもOK
- 感情に左右されずに取引ができる
- 優秀なトレーダーの取引方法を見て勉強することができる
- システムトレードと異なり急な相場変動でもプロバイダーが裁量で対応可能
- フォロワー側の判断で決済したりコピーを停止できる
- プロバイダーを選ぶ楽しさがある
MAM・PAMMのように契約期間に縛られず、EAのように機械的なプログラミングに頼るのでもない。コピートレードはまさにいいとこどりですね。
コピートレードのデメリット
コピートレード(ソーシャルトレード)には魅力的なメリットが多い一方、問題点もあります。
例えば、業者によっては誰でもプロバイダーになれてしまうため、のプロバイダー選びに失敗すると簡単に負けてしまう恐れがあります。
コピートレードにおいて、プロバイダー選びは最重要ですが、よいプロバイダーを見つけるのは簡単なことではありません。
- プロバイダーの調子に左右される
- プロバイダーの実力を事前に判断するのは難しい
- 成功報酬が引かれるので利益額がその分小さくなる
- コピーにタイムラグが出る場合もある
- 実践力や知識は身に付きにくくなる
ギャンブル的に楽しむのではなく、きちんと利益を出すためには、時間をかけて優秀なプロバイダーを見つける必要があります。
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