FX業者が採用する取引方式は、大きく分けてSTP/ECN方式とマーケットメイク方式の2つです。それぞれ、取引の透明性、利益相反のリスク、注文の執行速度に大きく影響を与えます。
FX業者を選ぶ際には、自分の注文がどのように処理されるかを理解し、自分の取引スタイルに合った業者を選ぶことで、より効率的な取引が可能です。
本記事では、各取引方式の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、近年主流となっているハイブリッド方式についても触れています。FX業者を選ぶ際の知識としてお役立てください。
FXの取引方式:STP/ECN,マーケットメイク,ハイブリッドの特徴や利点
FXの取引方式には、3つの主なタイプがあり、それぞれ異なる特徴や利点を持っています。ここでは、各取引方式の特徴とメリット・デメリットについて詳しく紹介します。
STP/ECN方式って何?
STP(Straight Through Processing)およびECN(Electronic Communication Network)方式は、FX業者が顧客の注文を直接市場に送る取引方式です。
複数のリクイディティプロバイダー(LP)からの価格提供により、競争力のあるスプレッドが提供され、取引コストが抑えられるのが特徴です。
ただし、市場の変動時や流動性の低下により、希望通りの価格で約定しないリスクも存在します。
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STP方式は、FX業者が受け取った顧客の注文を複数のリクイディティプロバイダー(LP)に転送し、最良の価格で執行する仕組みです。
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ECN方式は、FX業者が取引参加者が集まるネットワークを提供し、注文を市場で直接マッチングさせる仕組みです。
- 市場への直接アクセス:
取引が市場で直接行われるため、価格の透明性が高く、リアルタイムの市場動向を反映した取引が可能 - 利益相反のリスクが低い:
FX業者は取引の仲介役として機能するため、FX業者とトレーダーの間に利益相反のリスクが少ない
- 市場急変時のリスク:
市場の急変時にはスプレッドの広がり、スリッページの発生、取引が遅延する可能性がある
マーケットメイク方式って何?
マーケットメイク方式は、FX業者が自ら市場を作り、顧客の取引相手として機能する取引方式です。
マーケットメーカー(FX業者)は、顧客に提示する買値と売値を自ら設定し、そのスプレッドから利益を得ます。FX業者が自社で流動性を提供し、取引はマーケットメーカー内部で完結するため迅速に取引が成立します。
ただし、FX業者が取引相手となるため、利益相反のリスクや、提示される価格が市場価格と異なる可能性があります。
- スリッページが少ない:
取引がマーケットメーカー内部で完結するため、スリッページ(価格のずれ)が少なく迅速に執行される - 安定した取引:
マーケットメーカー自身が流動性を提供するため、流動性が低い時間帯でも取引が成立しやすい
- 利益相反のリスク:
マーケットメーカーが取引相手となるため、顧客に不利な価格を提示する可能性がある - 透明性の欠如:
市場価格と異なる価格が提示され、価格操作のリスクがある
注目されるハイブリッド方式
ハイブリッド方式は、マーケットメイク方式とSTP/ECN方式を組み合わせた取引方式です。
FX業者は、顧客の注文を一旦受け取り、市場の状況や取引内容に応じて、マーケットメイク方式またはSTP/ECN方式を使うかを選択して処理します。このため、取引の柔軟性が高く、さまざまな市場環境に適応しやすいのが特徴です。
ただし、FX業者がどの方式を適用するかを裁量で選ぶため、利益相反のリスクが残ります。
ハイブリッド方式のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 柔軟性:
状況に応じて取引方式を切り替え、取引コストの削減やスリッページリスクの最小化を図る - 顧客ニーズに応じた対応:
トレーダーのスタイルや市場状況に応じて最適な取引方式を選択し、幅広いニーズに対応 - 透明性と安定性の両立:
透明性の高い取引を提供しつつ、必要に応じて流動性を補完し、取引をスムーズに執行する
- 複雑な取引構造:
顧客が自身の取引がどの取引方式で処理されているか理解しづらい - 利益相反のリスク:
一部の取引がマーケットメイク方式で処理されるため、利益相反のリスクがある
FX業者は、短期トレーダーにはスプレッドの安定性を優先し、長期投資家には市場直結の透明な取引を提供するなど、状況に応じて最適な取引方法を選択しています。
FXの取引方式:STP/ECN,マーケットメイク,ハイブリッドを比較
FXの取引方式におけるSTP/ECN、マーケットメイク、そしてハイブリッドは、それぞれ異なる特徴を持っています。取引方式によるメリット・デメリットを比較し、以下にまとめました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
STP/ECN | 透明性が高く、 公正な価格で取引 |
スプレッドが 拡大しやすい |
マーケットメイク | スリッページが少なく、取引がスムーズ | 利益相反のリスクや透明性の欠如 |
ハイブリッド | 柔軟な取引環境を提供 | 複雑で利益相反の リスクが残る |
それぞれどんなトレーダーに向いている?
トレーダー自身が取引方式の違いによるリスクを理解し、自分のニーズに合った取引方式を採用しているFX業者を選択しましょう。
大規模な取引を行うトレーダー、デイトレーダーやスキャルピングトレーダー
初心者、安定した取引を求めるトレーダー、長期的な投資を重視するスイングトレーダー
初心者から上級者までの幅広いトレーダー
近年のFX業者はハイブリッド方式が主流
ハイブリッド方式は、近年多くのFX業者で採用され、主流となりつつあります。
初心者には安定性の高いマーケットメイク方式、大規模トレーダーには透明性の高いSTP/ECN方式を提供することで、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できます。
また、透明性の向上や安定した取引環境を提供することで、顧客の信頼と満足度を高めていることが、ハイブリッド方式が主流になりつつある理由の一つです。
FX業者がどの取引方式を採用しているのか判断する方法
国内・海外ともにFX業者ではNDDと公表していても、完全なSTP/ECN方式ではなくハイブリッド方式を採用していることがあるため、自分の注文がどの取引方式で流れているのか知りたい方も多いはずです。
ここでは、FX業者が採用している取引方式(STP/ECN・マーケットメイク・ハイブリッドモデル)を判断するためのポイントを解説します。
公式サイトの「取引執行ポリシー」や「利用規約」をチェック
利用規約や取引執行ポリシーをチェックすることで、FX業者の取引方式を確認できます。
ただし、公式ウェブサイトでNDDと謡っていてもハイブリッド方式を採用している可能性があるので注意が必要です。
顧客の注文は市場に直接送られる仕組みを取り入れている可能性が高い
マーケットメイク方式を採用している可能性がある
スプレッドと手数料の情報
変動スプレッド通常STP/ECN方式、固定スプレッドはマーケットメイク方式が多いです。また、取引手数料が別途発生する場合は、ECN口座である可能性が高いです。
狭いが変動スプレッド、取引手数料あり
広めだが固定スプレッド、手数料なし
提供レバレッジの高さ
FX業者が非常に高いレバレッジを提供している場合、マーケットメイク方式を採用している可能性があります。
取引が市場に直接送られるため、リスクが市場の流動性や価格変動に左右されやすく、レバレッジは通常低め(100倍~200倍程度)に設定
FX業者が自社のリスク管理システムで取引をコントロールしているため、高いレバレッジ(500倍以上)を提供することが可能
カスタマーサポートに問い合わせる
カスタマーサポートに直接問い合わせることで、取引方式について正確な情報を得ることができるかもしれません。
自分の口座について質問し「注文はどうやって市場に直接送られるのか?」「マリー決済しているのか?」といった具体的な質問をすることで、正確な情報を得られるかもしれません。
- サポートも経験豊富な人からアルバイトのような人まで様々で、正確な答えが返ってくるとは限りません
約定スピードやスリッページ
取引口座の約定スピードやスリッページを確認することで、使用されている取引方式が何かを判断できるかもしれません。
注文は市場に直接送られるため、市場の流動性によってスリッページが発生する可能性がある
FX業者内部で注文が処理されるため、通常迅速に約定され、スリッページはほとんど発生しない
取引方式に関するよくある質問
STP/ECNとマーケットメイク、DDとNDD、A-BookとB-Bookは同じ意味ですか?
STP方式とECN方式の違いは何ですか?
STP/ECN方式では、スリッページが発生しやすいと言われますがなぜですか?
マーケットメイクとマーケットメーカーは何が違うの?
なぜ一部のトレーダーはマーケットメイク方式を避けるのでしょうか?
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