海外FXのゼロカットアイキャッチ画像

海外FXでは、国内FXには存在しない「ゼロカット」というシステムがあります。

このゼロカットは、顧客のマイナス残高をチャラにしてくれる夢のようなシステムなのですが、本当に発動するのか?何か裏や罠があるのでは?と気になる方も多いはずです。

本記事では、国内FXのシステムとの比較を交えつつ、海外FXのゼロカットのメリットやデメリット、過去に発生したトラブルまで詳しく解説します。

海外FXのゼロカットシステムとは?

そもそもゼロカットって何?

ゼロカットイメージ図

ゼロカットとは、ロスカットが間に合わずに発生したマイナス残高(追証)を、FX業者がトレーダーに代わって負担してくれるシステムです。

ゼロカットという救済措置がある海外FXでは、トレーダーは追証を払う必要がなく、入金額以上の損失は発生しません。

ゼロカットとロスカット

よく似た言葉の響きですが、「ゼロカット」と「ロスカット」は全く別のものを指すFX用語です。

ロスカット

証拠金維持率が一定値を下回った際、トレーダーの損失がそれ以上広がらないよう強制的にポジションが決済されるシステム。国内海外FXいずれも採用。

ゼロカット

ロスカットが間に合わずに発生したマイナス残高(追証)を、FX業者がトレーダーに代わって負担してくれるシステム。海外FXのみが採用。

POINT

一定のマイナスが出ると、まず「ロスカット」が執行され、それが間に合わなかった場合に「ゼロカット」が発動されます。

追証(おいしょう)とは?

追証とは「追加証拠金」の略称です。追証という言葉には、以下2つの意味があります。

  1. 「FX業者へ返済しなくてはならない負債」(ロスカットが間に合わず、マイナス残高となった場合)
  2. 「ポジションを保有し続けるために追加入金する証拠金」(証拠金維持率が一定値を下回り、マージンコールが通知された場合)※国内FXのみ
POINT

海外FXでは、ゼロカットがあるおかげで、追証=FX業者へ返済しなくてはならない負債はチャラになります。


ロスカットが間に合わずゼロカットになる状況とは?

ロスカットが間に合わない状況とは

ロスカットが間に合わず、マイナス残高が発生してしまう原因は、大きく分けて3つあります。

  1. 短期間での急激な相場変動
  2. 窓開けで値が飛んだ場合
  3. システムトラブル

短期間での急激な相場変動

相場急変イメージ画像

ロスカットの判定は一定の間隔で自動的に行われるため、相場が一瞬で急変した際にはロスカットが間に合わない場合があります。

ボラティリティに影響を与える主な要因は、経済指標・要人発言・テロ・戦争・自然災害などがあります。

なお、ロスカットが間に合わないほど急激に変動する相場を「フラッシュクラッシュ」といいます。

近年のフラッシュクラッシュ一例
  • スイスフランショック
    :2015年1月15日
  • チャイナショック
    :2015年8月24日
  • 英ポンドフラッシュクラッシュ
    :2016年10月7日
  • トランプショック
    :2016年11月9日
  • アップルショック
    :2019年1月3日
  • トルコリラフラッシュクラッシュ
    :2019年8月26日
  • コロナショック
    :2020年3月9日

窓開けで値が飛んだ場合

窓開けイメージ画像

週明けにチャートを確認すると、金曜日の終値と月曜日の始値に隙間ができているのを目にすることがあります。

この現象は「窓開け」といい、FX市場が休みの土日にボラティリティに影響を与える出来事が発生すると、週明けに大きな窓となって反映されます。

週末にポジションを持ち越していて、万一狙った方向と逆に値が飛んでしまった場合、ロスカット水準を超えてマイナス残高が発生してしまうリスクに繋がります。

システムトラブル

値動き以外の要因としては、FX業者のシステム上でトラブルが起こり、ロスカットの条件を満たしているにもかかわらず正常に発動しないケースがあげられます。

また、トレーダーの取引ツール(パソコンやスマートフォンなど)の不具合が原因となる場合もあります。

POINT

国内FXでは、FX業者側の過失であるシステム障害以外の場合、ロスカットが間に合わなければトレーダーが追証を支払う義務が設けられています。


ゼロカットのメリットデメリット

ゼロカットのメリットとデメリット

ゼロカットというシステムのメリットと、デメリットについて考えてみましょう。

ゼロカットのメリット

ゼロカットの何よりのメリットは、損失額が予め限定されるため、借金を背負う心配がないという点です。

たとえロスカットが間に合わずに損失が出ても、実際にトレーダーの手元から無くなる資金は事前に入金した金額のみです。

また、ゼロカットがあることによってメンタル的にも安定し、大胆な取引ができるという点も大きいです。

海外FXでは数百倍以上のレバレッジをかけて、ハイリスクハイリターンな取引できますが、もしゼロカットがなければハイレバ取引のハードルがかなり高くなってしまいます。


ゼロカットのデメリット

ゼロカットはトレーダーの救済措置なので、それ自体にはデメリットは一切ありません。

ただ、トレーダーによっては、どうせゼロカットがあるからと油断してしまい、資金管理が大雑把になってしまうことがあります。

ゼロカットの存在に安心せず、シビアなメンタルを保ってトレードに挑みましょう。


ゼロカットを採用する海外FX、採用できない国内FX

トレーダーにとってメリットしかないゼロカットですが、どうして海外FXか国内FXかで採用の有無が異なるのでしょうか?

理由を簡潔に、以下にまとめました。

海外FXがゼロカットを採用する理由

国によってはゼロカットが義務だから

追証ありが当たり前になっている日本国内FXとは逆に、世界では追証なしの方がスタンダードです。

例えば、欧州証券市場監督局(ESMA)では、EUの投資家保護のため、ゼロカットをブローカーに義務付けています。

国外からの追証回収は大変だから

国内FXの顧客とは異なり、海外FXの顧客は世界各国に点在しています。

それらの顧客に追証を請求して、万一支払い拒否をされた場合、海外FXは各国の法律に則った対応をしたり、裁判を行うことになります。

実際問題として、これでは余計な時間もお金も労力もかかってしまうため、いっそ全てゼロカットにしてしまおう、と割り切った判断をしていると言えます。

日本のトレーダー獲得に繋がるから

日本の多くのトレーダーは、国内FXの「低レバレッジ+追証あり」というシステムに慣れています。

そこに、「ハイレバレッジ+追証なし」という魅力的な条件を提示すれば、たくさんの新規顧客獲得が見込めます。

日本の金融ライセンスを取得していないという不安要素も、ゼロカットなどの魅力的な要素で霞ませることができます。

国内FXがゼロカットを採用しない理由

金融商品取引法で禁止されているから

日本国内では、そもそも「金融商品取引法」でゼロカット(損失補填)が禁止されています。

そのため、日本の金融庁で金融ライセンスを取得しているFX業者は、顧客に対してゼロカットを行うことができません。

最大レバレッジが低いから

国内FXの最大レバレッジは、25倍に制限されています。

低レバレッジでの取引では、大きく値が飛んでも、基本的にマイナス残高になる(ロスカットが間に合わない)という事態は発生しにくいです。

ハイレバ取引ができるハイリスクハイリターンの海外FXとは異なり、国内FXではそもそもゼロカットの必要性があまりない取引システムが整備されています。


本当にゼロカットは発動するのか?(スイスフランショックの事例)

ハイレバ取引を行うならゼロカットの救済措置は必須だということがわかりました。

しかし、「どんなに大きなマイナス残高でも、本当にゼロカットされるの?」という疑問を抱いている方も少なくないのではないでしょうか。

ここでは、2015年1月15日に起こったスイスフランショック時の各社の対応を例に挙げてご紹介します。

スイスフランショックの概要

スイスフランショックとは、スイス国立銀行が政策変更を行ったことによって引き起こされた、外国為替相場における歴史的な事件です。

この出来事によって、スイスフランはわずか20分ほどの間に、本来の1.20CHFから0.85CHF(対ユーロ)まで暴騰しました。

あまりに急激な相場変動だったため、各業者のロスカット及び逆指値は正常に機能しませんでした。

なお、ゼロカットのない国内FXでは、多額の追証を求められた結果破産したトレーダーもいます。

高額のマイナス残高でも各社ゼロカットに対応

結論から言うと、この出来事が起こった際も、多くの海外FX業者はゼロカットでマイナス残高を0にして顧客を救済しました。

以下に具体例として、大手海外FX業者であるXMeasyMarketsが、スイスフランショック発生時に顧客に向けて発表した声明文を掲載します。

XMの声明文

XMスイスフランショックに対する声明

XM声明文詳細

スイス国立銀行がEUR/CHFの上限撤廃を決定したことによって引き起こされた最近の市場での非常に大きな値動きによって、XMはスイス国立銀行による大混乱の影響は受けていないことをお客様に保証致します。

XMTradingは常にマイナス残高の自動的な保護を提供していることをお客様に再度ご案内申し上げます。

XMTradingは、この度のEURCHF通貨ペアの異例な値動き等の混乱時には、特にお客様に対する当社の忠誠心の現れとして、こちらのマイナス残高の自動的な保護を継続していく所存です。

先週中にマイナス口座残高が発生した全てのお客様は、当社の評判と強みへのお約束を果たす為に、マイナス残高が起こりうる他のケース同様に、マイナス残高は既にリセットされています。

easyMarketsの声明文

easyMarketsスイスフランショックに対する声明

easyMarkets声明文詳細

スイス国立銀行(SNB)の木曜日の発表によって3年に及んだスイスフラン(CHF)への制限が終了し、この通貨の価格が急上昇して多くのブローカーとそのクライアントたちが大きな損失を被りました。

easyMarketsには強力なリスク管理システムがあったために影響を受けず、クライアントの皆様の安全もストップロス保証と負の残高保護によって確保されました。easy-forexでは安心して通常どおりに取引をしていただける事をクライアントの皆様に保証し、資金の保護や監督機関の規制を完全に遵守する事を含む数多くの対策を通じてクライアントの皆様の安全を確保する事にコミットし続けます。

ストップロス保証と、負の残高保護、リクオートが無い事、そして専門家チームによる完全なサポートによって、クライアントの皆様には安心して思う存分取引していただけます。事実、easyMarketsはCHFが含まれたペアでの取引を最も早く再開したブローカーの1つで、この通貨でのポジティブな取引活動を観察しています。

easy-forexの約束

  • リスクを最小化するためのストップロス保証
  • 取引を最大化するための利益確定保証
  • CHFのクロス取引に対するリクオートまたは改正なし
  • 負の残高保護
POINT

ゼロカットシステムを採用している真っ当な海外FX業者は、不測の事態が発生してもきちんとマイナス残高をリセットします。


【例外】ゼロカット規約を反故にしたFX業者もいる

一方で、本来の責任を逃れてユーザーに不利益を被らせる悪徳業者が存在することも事実です。

スイスフランショック時に多くの海外FX業者が約束通りゼロカットを行った中、一部の業者はゼロカットを突然廃止し、一気に顧客の信頼を失う形になりました。

元々ゼロカットを採用していたにも関わらず、「今回は想定の範囲外だからゼロカットは不可能」と顧客に追証を求めたためです。

POINT

悪徳業者はゼロカットを反故にする場合もあるので、業者の信頼度は事前によく吟味するべきです。



ゼロカットはどのように発動するの?

本来は、一定の証拠金維持率を下回るとロスカットで強制決済されるため、マイナス残高にはなりません。

しかし万が一、スイスフランショックのような相場の大変動が起こってロスカットが間に合わなかった場合、ゼロカットがその力を発揮します。

それでは、具体的にどのようにゼロカットが発動されるのでしょうか。

具体的なゼロカット発動までの流れ

ゼロカット発動までの大まかな流れは、以下の通りです。

ゼロカット発動までの流れ
  1. ロスカットが間に合わない、作用しない事態が発生
  2. 有効証拠金が無くなり、マイナス残高となった場合にゼロカット発動
  3. ゼロカット後、口座残高は0となる

1.ロスカットが間に合わない、作用しない事態が発生

ロスカットが作用しない相場の大変動発生

急な価格変動などで、本来作動するはずのロスカットが間に合わず、有効証拠金が無くなり残高がマイナスの状態になります。

有効証拠金が消費される順序

有効証拠金とは「残高」「ボーナスクレジット」「含み益/含み損」の合計金額です。

順序としては、まず残高から消費され、その後ボーナスが消費されます。

口座残高とボーナスが0になっても、同一口座内で含み益のあるポジションを保有していれば、ゼロカットは発動されず、そのままトレードが続行されます。

2.有効証拠金が無くなり、マイナス残高となる⇒ゼロカット発動

マイナス残高はゼロカット

ロスカットが発動していないので、マイナス残高の状態で決済をすることになります。

決済後、口座にはマイナス残高が表示されますが、一定時間待てばゼロカットが発動します。
(追加入金や業者への連絡が必要な場合もあります。)

3.ゼロカット後、口座残高は0となる

ゼロカットで追証なし

ゼロカットが執行されると、口座内のマイナス分はリセットされ、残高は0になります。

このように、ゼロカットがあれば追証を支払う必要はありません。


ゼロカットを利用する際の注意点

ゼロカットを確実に利用するために、以下の2点に注意しましょう。

  • ゼロカットの詳細なルールは業者ごとに異なる
  • ゼロカットを悪用すると厳しい罰則の対象となる

ゼロカットの詳細なルールは業者ごとに異なる

ゼロカットという概念は各社共通ですが、ゼロカットに関する詳細な仕様・ルールは各海外FX業者ごとに異なります。以下で幾つか具体例をご紹介します。

ゼロカットが反映されるタイミング

マイナス残高で決済をしたのち、ゼロカットが反映されるタイミングは、海外FX業者によって異なります。

一定時間が経てば自動的にゼロカットされる業者もあれば、連絡や追加入金が必要な業者もあります。

各海外FX業者のゼロカット反映時間

参考までに、代表的なFX業者のゼロカット反映時間をご紹介します。

▼ゼロカット反映時間一例
海外FX業者名 ゼロカット反映までの時間
XM 数分~数日後に自動リセット
追加入金、資金移動を行うと即リセット
Tradeview 追加入金で即リセット
easyMarkets 1営業日前後に自動リセット
MYFXMarkets サポートに連絡後、提示額を入金するとゼロカットの対象となる
ミルトンマーケッツ 1営業日以内に自動リセット
急ぐ時はサポートに連絡すると即リセット
GEMFOREX 60分以内に自動リセット
IS6FX 24時間以内に自動リセット

マイナス残高がある状態での追加入金

マイナス残高がある時(ゼロカット未反映時)に追加入金をした場合の対応も、業者によって異なります。

業者Aでは、追加入金と同時にゼロカットが発動され、入金した額がそのまま口座に反映されます。

しかし、業者Bでは、マイナス残高がある状態での入金はマイナス分と相殺されてしまうため、口座残高に反映されるのはマイナス分を差し引いた金額です。

マイナス残高5万円がある時に、10万円を追加入金した場合
  • 業者A
    :追加入金10万円⇒口座残高10万円
  • 業者B
    :追加入金10万円⇒口座残高5万円

複数口座がある場合のゼロカット

1つの海外FX業者で複数口座を保有しているとして、口座Aでマイナス残高が発生した際に、口座Bに残高があった場合はどうでしょう?この場合の挙動も業者によります。

多くの業者では、口座はそれぞれ独立しているため、1つの口座でマイナス残高が出ても他の口座には影響しません。

ただし、一部業者では、口座Aのマイナス分が口座Bの残高から相殺されるようになっています。

ヒント

予め、利用する業者のゼロカットルールを確認し、以下のポイントを把握しておきましょう。

  • どのタイミングでゼロカットは執行されるのか
  • マイナス残高があるときに入金を行っても問題ないか
  • 他の口座への影響はないか

ゼロカットを悪用すると厳しい罰則の対象となる

ゼロカットを利用した、高確率で大きな利益が出せる手法に、「口座を跨いだ両建て」「窓埋めトレード」があります。

意図して(意図せずとも)これらの手法を行ってしまうと、ゼロカットを悪用していると見做され、場合によっては口座凍結や利益没収等の厳しい措置が取られることもあります。

業者によって、禁止されている手法やゼロカットの悪用だと見做される基準も異なるので、事前に業者の利用規約を確認したりサポートに問い合わせるようにしましょう。

口座を跨いだ両建てについて

口座を跨いだ両建てとは、口座Aで買いポジションを持ち、口座Bで売りポジションを持つことです。

「同一業者内の複数口座での両建て」及び「複数業者間での両建て」がこの手法に当たります。

口座Aの買いポジションがどれだけ大きな損失を出しても、ゼロカットがあるお陰で損失は入金額のみに抑えられますが、一方口座Bでは大きな利益が出ているわけなので、総合すると、損失を大きく超えた利益が獲得できるということです。

誰もが皆この手法を利用してしまうと、業者の負担ばかりが大きくなってしまうため、ゼロカット不正利用として禁止されています。

窓埋めトレードについて

FX市場が休みの土日に、ボラティリティに影響を与える出来事が起こると、金曜日の終値と月曜日の始値のチャートに大きな「窓」が開くことがあります。

窓が開いた後の相場は、この窓を埋める方向に動きがちです。窓埋めトレードとは、この現象を利用した勝率の高い手法です。

すべての業者でこの手法が禁止されているわけではありませんが、週明けの窓ばかりを狙って取引する行為を、ゼロカットの悪用だと判断されるケースもあるのでご注意ください。


海外FXのゼロカットについてのまとめ

ゼロカットのまとめ

今回は、海外FXが提供しているゼロカットに関して解説しました。

ゼロカットというシステムは、トレーダーにとっては全くデメリットのない優れた制度ですが、数点、留意するべきことがあります。

まず、ゼロカットを反故にするような悪徳業者も0ではないため、業者選びは慎重に行う必要があります。

ボーナスや話題性のみだけでなく、運営歴や過去のゼロカット実績、金融ライセンスの有無なども確認して、信頼のおける業者かどうか判断するようにしてください。

また、ゼロカットがあることに安心してしまって、ギャンブルトレードばかり行ってしまうと、簡単に資金を失いかねないので、これでは“ゼロカットの本末転倒”です。

ゼロカットの存在に依頼せず、シビアに緊張感を保った取引を行いましょう。