VPS(Virtual Pribate Server)とは、Web上の仮想のデスクトップ空間のことです。
仮想上の空間に、電源が入りっぱなしのパソコンを置いている状態を想像してもらえたら理解しやすいと思います。
VPS環境を整えることで、パソコンを起動していなくてもEAが使えたり、約定力が向上するので、EAで自動売買を行うなら揃えておきたい環境と言えます。
本記事では、XMの無料VPSの使い方から設定方法、EAの導入方法まで解説します。
- EAを使って24h自動売買を行いたい人
- EAの約定力を向上させたい人
- 災害リスクや停電リスクに備えたい人
- 電気代の節約をしたい人
XMのVPSってどうなの?
VPSは、ネット上の仮想空間にデスクトップがあるとイメージしてもらえると、以降の説明がわかりやすくなると思います。
まず、VPSに詳しくない人にもわかるように、VPSのメリットを紹介していきたいと思います。
仮想のデスクトップ空間を作ることで、どんなメリットがあるのでしょうか?
VPSを使うメリットってどんなのがあるの?
24時間EAを動かせる
EA(自動売買システム)を動かす際に一番のネックが、MT4を閉じることができないということ。
現実問題、パソコンを24時間稼働させっぱなしにすることは、意外に難しいものです。
しかし、VPS上の仮想空間であれば、突発的なアクシデントもなく、EAを稼働させ続けることができます。
約定力が上がる
海外FX業者を利用する際、その海外業者のデータセンター(注文処理をするサーバー)までの距離が数千キロ離れていることが普通です。
しかし、VPSのサーバー所在地を海外FX業者のデータセンターの傍に置くことができれば、物理的な距離は一気に縮まり、約定スピードは飛躍的に向上します。
ちなみに、XMのデータセンターは英国ロンドンにあり、XMから提供されるVPSのサーバーも同じロンドンで、データセンターから1.5kmの近距離にあります。
災害・停電リスクを回避できる
EAを稼働させていて怖いのは、災害や停電のリスクです。
もしもオーダー注文を出したまま、決済ができなかったらと考えると怖いですよね。
VPS上の仮想空間であれば、災害や停電リスクを回避することができます。
電気代・パソコン代の節約
24時間、パソコンとMT4を立ち上げた状態を続けるとしたら、パソコンへの負担と電気代は、かなり大きなものになります。
1か月、パソコンを立ち上げ複数モニターを使う状態を続けた場合、電力会社の試算では電気代が3000~5000円かかるといいます。
VPS上の仮想空間であれば、それよりも安いコストでEAを稼働させることができます。
スマホからでもアクセスできる
EA稼働中に、使用しているパソコンが突然ダウンしたり、壊れてしまったりした時に、MT4が触れない事態になるのは大きなリスクです。
しかし、VPS上の仮想空間にはスマホからでもアクセスができ、MT4の操作もできるので安心です。
約定力の向上に加え、EA稼働コストの節約、突発的なリスクを回避する意味でも、VPSの利用はメリットは大きいでしょう。
XMが提供しているVPSの使い勝手は?
さて、続いては、XMが提供しているVPSのマシンのスペックを見てみましょう。
VPS上では、そのVPS業者が提供しているマシンのスペックに準じて、MT4を操作することになります。
つまり、自分のパソコンのスペックがいくら高くても、VPS上のパソコンの機能が低ければ、操作するのに難点が生じますので、注意することが必要です。
それでは、XMで提供しているVPSのスペックはどれくらいなのでしょうか。
Beeks社のVPSサーバーのスペック一覧表
XMはVPS環境を提供するために外部のBeeks社というVPS専門の業者と提携しています。
そのため、XMというより、Beeks社のVPSサーバーのスペックになります。
スペック | |
---|---|
メモリ | 1.3G |
サーバーディスク | 25GB(SDD) |
CPU | 600MHz |
データセンター所在地 | ロンドン |
サーバーver | Windows 2012 |
POINT
XMと提携しているBeeks社は、2011年からVPS提供を始めている老舗企業です。
エクイニクス社のデータセンターを利用し、インフラとしての信頼性がかなり高いことで有名です。ただ、料金はやや高め。
メモリやCPUの値を見る限り、平均点というところでしょうか。
実際に利用してみると、ロンドンのパソコンを日本からリモートコントロールすることになるので、少しの時間差は気になるものの、MT4にEAを設定したりする分には、不便は感じませんでした。
Beeks社の公式サイトにいくと、個人向けでXMよりも上の環境も提供しています。
スペック的にはXM経由で契約できるのは、ブロンズコースのみのようです。
引用元:Beeks社 公式サイト
XM経由で契約すると、価格が少し割引になり、無料オプションもついているので、ブロンズコースの提供にとどまっているようです。
ただ、インフラは信頼が置けますし、MT4でEA利用するには、十分なスペックです。(MT4を10個まで同時に立ち上げることができます)
そして、ロンドンのデータセンターはXMのデータセンターからは1.5kmの位置にあり、物理的な距離が縮まることで約定力の向上はかなり期待できます。
しかし、複数のEAを稼働させたりスペック的に不安がある人は、シルバーやゴールドコースを直接Beeks社のサイトから申し込めば、問題なく利用することができます。
XMのVPSが無料になる条件とは?
Beeks社のVPSを無料で使えるための条件として、XMでは次のような基準を設けています。
- 口座残高が1000USドル
- 毎月の取引量が5ロット以上(FXまたはGold,Silver取引)
こちらの基準は、どちらか一方というわけではなく、両方の基準を満たしていることが条件です。
VPSは月極契約ですので、月末時点で両方の基準を満たしていなければ、維持費用の28USドルが月初に口座から引き落とされます。
毎月5スタンダードロット以上の取引は難しくないかもしれませんが、口座残高1,000USドル必要というのが人によっては、抵抗があるかもしれませんね。
ただ、口座残高はアカウント全体の資金量を指しているので、入金だけして普段使わない資金は、追加口座を作って、別口座内で温存しておくという方法もあります。
XMのVPSの設定方法
ここからは、実際にXMでVPSを設定する手順を見ていきましょう。
- XM会員ページへログイン
- XMマイページメニューからVPSをリクエストする
- Beeks社のメールからRDPファイルをダウンロードする
- BeeksFXのアイコンからVPSに接続する
- BeeksのVPSにログインする
手順1. XM会員ページへログイン
手順2. XMマイページメニューからVPSをリクエストする
上記の画像は、VPSの無料基準を満たしていないので、毎月28USドルが口座から差し引かれると記載されています。
VPSの基準を満たしていたら、「あなたの口座は無料でVPSを利用できます。」というメッセージが出ます。
なので、自分が無料の条件を満たしているかどうかは、この段階でもわかりますので、ちゃんと確認するようにしましょう。
手順3. Beeks社のメールからRDPファイルをダウンロードする
手順4. BeeksFXのアイコンからVPSに接続する
手順5. BeeksのVPSにログインする
ログインに成功すると、パスワードの変更をするかどうかの確認画面が出てきます。
なるべく覚えやすいパスワードにしましょう。
パスワードを変更し終えたら、VPSへの接続は完了です。
XM経由でBeeks社と契約した場合、サーバーはUK(ロンドン)にあるのでVPS上はイギリス時間になります。
XMのデータセンターもロンドンにあるので、VPS上で注文を出せば約定スピードは飛躍的に向上すると思われます。
VPSによる応答スピードの変化やVPSの解約手続きについて
VPSに繋げた結果、ping値は劇的に低下
それでは、実際VPSに接続した結果、約定スピードがどう変わったのかを見てみましょう。
MT4の応答速度を測る値にping値というものがあります。
日本から繋げた場合と、VPSでイギリスから繋げた場合でping値を比較したのが下の画像です。
ping値の単位はms(ミリセカンド)で、値が小さいほど速く、値が大きいほど応答スピードは遅くなります。
※ping値は、MT4画面右下の接続状況欄を右クリックすれば表示されます。
詳細をみると、日本から繋げたMT4では240コンマ秒かかっているのが、VPSから繋げたMT4では7コンマ秒しかかかっていません。
この比較結果をみると差は明らかで、VPS上のMT4の方が10倍以上応答スピードが速くなっています。
VPSへの接続で、グッと応答スピードが上がりましたね。
やはり、ロンドンにあるXMデータセンターから1.5km圏内にサーバーが設置されてるというのは、大きいようです。
ロンドンから6,400km離れている日本とは、歴然と差が出ました。
VPSを解約するには?
XMのVPSは月極契約です。
月末時点で、残高が足りない場合(残高28USドル相当以下)は自動解約されます。
注意したいのは、申請した時には無料条件を満たしていたけど、日数が経過して条件を満たせなくなってしまった場合です。
その場合は、残高から現金28ドルが引き落とされることになります。
自分で解約したい場合は、申請時と同じようにマイページの口座メニューからVPSをクリックし、「サービスを取り消す」をクリックすれば手続きは完了です。
VPS上のEA(自動売買ソフト)の導入方法
それでは、VPS上で動かすMT4とEAの準備に入りましょう。
- VPS上のMT4を起動
- VPS上のMT4にログイン
- MT4のEAを取得
- MT4にEAをインストール
手順1. VPS上のMT4を起動
こちらをダブルクリックしてインストールします。
日本人向けに営業しているのはXMTradingなので、不安になる方もいるかもしれませんが、XM GlovalのMT4からXMtradingのサーバーに繋げることは可能ですので、問題ありません。
XMTradingのMT4をダウンロードしたい場合は、VPS上のFireFoxを使って、直接、XMTradingのサイトからダウンロードしてください。
日本語も使用可能になります。
手順2. VPS上のMT4にログイン
MT4の上部メニューの「File」から「Open an account」を選択します。
そこで自分のサーバーを選択すると、そのサーバーが追加されます。
それでは、あらためてログインしてみましょう。
スキャン画面を一旦閉じ、「File」から「Log in to Tradeaccount」を選択して、ログイン画面を表示すると、XMTradingのサーバーが選択可能になっていますね。
ここにログインIDとパスワードを入力し、任意のサーバーを選択すれば、ログイン完了です。
ログインできない場合の対処法は、以下の記事でまとめていますので、参考にしてください。
関連記事:XMログインの基本
手順3. MT4のEAを取得
さて、続いてEA(自動売買ソフト)の準備をすすめていきましょう。
EAの取得方法はさまざまですが、VPS上でダウンロードするより、デスクトップ上でダウンロードしてVPS上に転送する方法がおすすめです。
軽いデータならwebメールに添付して送るというのが最も手軽だと思います。
MT4内の下部メニューの中の「マーケット」タブを開くと、MT4で使えるEAやインジケーターの一覧リストが表示されます。
自動売買できるEAを購入or入手したい場合は、マーケット欄上部の「Expert」をクリックすると、EAのみが表示されます。
手順4. MT4にEAをインストール
それでは、VPS上のMT4にEAをインストールしましょう。
以上でEAの設定は終了です。
MT4を閉じなければ、VPSとの接続を切ってもEAはそのまま稼働し続けます。
VPSにはスマホからでも接続できますので、自宅のパソコン環境がダメになっても、トレードへの影響は最小限にできます。
EAがうまく稼働しない場合は、以下の記事を参考に検証やバックテストを行ってください。
関連記事:MT4のEA設定・導入方法
プッシュ通知の設定
EAの稼働中、ちゃんと稼働しているのか気になった場合、スマホに売買通知を送るという方法が有効です。
こちらの設定はVPS上でしなくても良いので、普段使い慣れているMT4で行っても大丈夫です。
スマホへのプッシュ通知の設定手順は以下の通りです。
- スマホ用MT4をダウンロードする
- スマホ用MT4のMetaQuotesIDを確認する
- PC用MT4でプッシュ通知を設定する
- PC用MT4でアラートを設定する
MT4のプッシュ通知の設定手順
まず、スマホ用のMT4をダウンロードします。
スマホ用のMT4は、iPhone用とAndroid用に分かれています。
それぞれ、アプリストア(AppstoreかGoogleplay)で無料でダウンロードすることができます。
設定方法は、XM公式サイトでも紹介されています。
スマホ用MT4をダウンロードできたら、「設定→チャットとメッセージ」を選択します。
「チャットとメッセージ」を開くと、ページ下部に「MetaQuotesID(メタクォーツID)」があるので、それをメモしてください。
MT4上部メニューから、「ツール→オプション」でオプション画面を開きます。
次に開いたオプションの中から「通知機能」を選択します。
- プッシュ通知のチェックボックスにチェック
- メタクォーツIDを入力
- テストボタンを押す
メタクォーツIDを正しく設定できていれば、テストボタンを押すと、以下の画像のような通知が携帯に来ます。
EAの売買を通知するだけなら、これだけでも大丈夫です。
特定の値段になったら通知する機能もありますので、そちらもご紹介しますね。
EAは稼働しているのに売買通知が来ない場合は、さきほどの「オプション→通知機能」の「トレード処理を通知する」のチェックボックスが外れていないかチェックしてください。
外れていたらチェックを入れましょう。
PC用MT4でアラートを設定する
まず、アラートをさせたい通貨ペア上で右クリックしてください。「注文発注→アラート」を選択します。
仮のアラートライン上で右クリックして、「注文の変更」を選択します。
アクション指定の欄では、Notificationを選択、価格欄ではアラートさせたい価格を入力してください。
有効期限を設定しておくと、有効期限内なら24時間、スマホへ通知してくれるようになります。
関連記事:MT4の使い方基本編
スマホからVPSへのアクセス方法
VPS環境が整っていれば、いざ、自分のパソコンが使えなくなったとしても、スマートフォンからVPSにアクセス可能なので、災害やパソコンの急なダウン時でもトレードへの影響を最小限に抑えることができます。
- スマホ用VPSアプリのダウンロード
- VPSの追加
- PC名とユーザー名の入力
- VPSへ接続
手順1. スマホ用VPSアプリのダウンロード
まずは、スマホ用のVPSアプリをダウンロードします。
GoogleplayかAppstoreで「リモートデスクトップ」と検索すれば、いくつかアプリが表示されますが、オススメは以下のアプリです。
VPSへアクセスできるスマホ用アプリは、いくつかありますが、オススメは「Microsoft Remote Desktop(マイクロソフト社製)」です。
Google PlayやAppstoreで無料でダウンロードできます。
以降の説明は、こちらの「Microsoft Remote Desktop」を使って行います。
手順2. VPSの追加
右上にある「+」ボタンをクリックし出てきた選択肢の中から「Desktop」を選択してください。
手順3. PC名とユーザー名の入力
右上にある「+」ボタンをクリックし出てきた選択肢の中から「Desktop」を選択してください。
入力し終えたら右下の「SAVE(保存)」ボタンをタップして、先程の画面に戻ります。
手順4. VPSへ接続
MT4を開きたい場合は、VPS上のカーソルを使って、MT4をダブルクリックすれば操作できるようになります。
このように、スマホからも接続できるようにしておけば、出先でもVPS上のMT4を確認・操作することが可能です。
ぜひ、設定しておきましょう。
XMの無料VPSに関するよくある質問(FAQ)
- XMのVPSを使うメリットは?
-
XMのVPSを使うメリットは以下のとおりです。
- 24時間EAを動かせる
- 約定力が向上する
- 災害・停電リスクを回避できる
- 電気代・パソコン代の節約
- スマホからでもアクセスできる
- XMのVPSが無料になる条件は?
-
XMのVPSが無料になる条件は以下のとおりです。
- アカウント全体で合計した口座残高が1000USドル
- 毎月の取引量が5ロット以上(FXまたはGold,Silver取引)
こちらの条件は、どちらか一方というわけではなく、両方の基準を満たしていることが条件です。
VPSは月極契約ですので、月末時点で両方の基準を満たしていなければ、無料にはなりません。
- XMの無料VPSの申し込み方法は?
- XM会員ページにログインして、メニューにある「口座」をクリックして「VPS」選択します。次に「VPSをリクエストする」をクリックすると確認画面が表示されるので「確定」をクリックすると、VPSの申し込みは完了です。
- XMの無料VPSを解約するには?
- XMのVPSは月極契約です。VPSを解約したい場合は、申請時と同じようにマイページの口座メニューからVPSをクリックし、「サービスを取り消す」をクリックすれば手続きは完了です。
また、月末時点で、残高が足りない場合(残高28USドル相当以下)は、自動解約されます。
XMのVPSについての記事は、以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのトレーダーライフの一助になれば、幸いです!
それでは、次回お会いしましょう。
XMの無料VPSの説明を公式サイトで確認する
XMのVPSは、毎月5ロット以上の取引、口座残高1000USドル相当以上のユーザーには、無料で提供されています。
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6月末まで 口座開設13,000円
こちらの記事を見て、XMのVPSを契約しました。
とても分かりやすかったです。
ただ、スマホからアプリで全然繋がらないです。
PCからなら繋がるそうですが。
何か良い方法はありませんか?
停止など触りたくても触れないと全く使用できないです。