トレーリングストップとは、MT4/MT5には標準搭載されている機能で、「現在のレート」を追跡(トレイル)しながら、自動的にストップ値が更新されていく機能のこと。
価格差(値幅)を維持しながら、自動的にストップロスの位置が移動するので、利益を伸ばしながら決済する事ができるメリットがあります。使い方をマスターすれば、より効率的に利益をあげられるでしょう。
トレーリングストップとは?
トレーリングストップとは、注文後の操作により、指定した「ストップレート」と「現在のレート」を追跡して、価格差(値幅)を維持しながら、自動的にストップレートを更新する機能です。
つまり、トレーリングストップを設定することで、利益を伸ばしながら、一定のストップ条件で決済する事ができます。
上手にトレーリングストップを使う事で、「利益の確保」に活用できます。
とくにチャートを見ている時間が無い時など、トレーリングストップを入れて放置している間でも、高値になるほど利益が増加し一定のストップ基準で決済をする事が出来ます。
買いポジションの場合のトレーリングストップの決済までの動き、
売りポジションの場合のトレーリングストップの動きを下図で説明しています。
トレーリングストップの単位は価格やpipsではなく、「ポイント」です。
1ポイント=0.1pips
例:50ポイント=5pips
買いポジションの場合は?
買いポジションの場合の説明を分かりやすくするため、簡単な条件を設定してみましょう。
【買いポジションにトレーリングストップを入れる場合】
- 注文したレート:100円
- トレーリングストップ幅:1円(1,000ポイント)
買いポジションにトレーリングストップを入れる場合は、設定した値幅+最低指値幅の合計値よりも、利益方向に値幅が広がった時に、トレーリングストップが発動します。(最初からその値幅がある場合は、即ストップロス注文が入ります)
トレーリングストップ幅を1円(1,000ポイント)に設定するなら、レートが1円上昇し101円+αになると、ロスカットラインが1円下の100円のラインに出現する仕組みです。
この価格差を維持しながら、ストップラインが更新されています。
ストップラインの価格までレートが下落すると、自動的に決済されます。
売りポジションの場合は?
売りポジションの場合は、買いポジションとは反対の形になります。
こちらもわかりやすい条件を設定して、説明します。
【売りポジションにトレーリングストップを入れる場合】
- 注文したレート:100円
- トレーリングストップ幅:1円(1,000ポイント)
売りポジションにトレーリングストップを入れる場合は、設定した値幅+最低指値幅の合計値よりも、利益方向に値幅が広がった時に、トレーリングストップが発動します。(最初からその値幅がある場合は、即ストップロス注文が入ります)
トレーリングストップ幅を1円(1,000ポイント)に設定するなら、レートが1円下降し99円+αになると、ロスカットラインが1円上の100円のラインに出現する仕組みです。
トレーリングストップの活用方法と注意点
トレーリングストップの活用方法
トレンドの方向性が見えない場合
例えば、トレンドの方向性が見えないが次に大きく相場が動く事がわかっている場合やレートが大きく上がりその後下がり始めた場合、ストップの価格は為替レートに追従して変化し、少し戻した価格で決済されるので相場を見ていなくても、利益を確保することができます。
しかし、一時的に下落することはよくあるので、値幅が小さすぎると、すぐに決済となってしまいます。
そのため、慎重になりすぎると、決済のポイントが低くなり利益が少なくなってしまう可能性があります。
また、逆に動いた場合の損切りはしっかり設定する必要があります。
長期トレードの場合
価格相場は様々な原因で常に変化していますので、予測は難しいです。
長期に観察しながら、一定のトレンドで相場がジリジリと動く傾向にあれば、トレーリングストップはとても便利な機能です。
ストップの幅を設定しておくだけで、相場を見ていられない時でも利益を伸ばしながらストップを入れることができます。
トレーリングストップ活用の注意点
MT4を稼働していない間はトレーリングストップは機能しない
トレーリングストップの設定はPCのMT4上で管理されています。
自宅PCのMT4で動かしている場合に、MT4が起動していなかったり、インターネットに接続されていない状態では、トレーリングストップの機能は実行されません。
つまり、PCとMT4を稼動させっぱなしにしておかないと、トレーリングストップの設定をしていたとしても自動的にストップの決済がされないことになります。
この問題を解決したい方は、VPSでMT4を運用することを検討しましょう。
海外FX業者の中には、XMなど無料でVPSを提供している業者があるので参考にしてください。
ストップロス注文の代わりにはならない
一般的にはトレーリングストップは既に利益の出ているポジションに設定するものとなりますが、利益の出ていない状態でも設定は可能です。
しかし、設定した数値の値幅の利益を確保するまでストップ値は入りません。
つまり、トレーリングストップが発動するまでに損の方向に動いてしまった場合は損益が膨らむので、トレーリングストップが発動するまでは、ストップロス注文を入れる必要があります。
設定幅分の利益を確保した場合トレーリングが発動しますが、発動したかどうかはポジションの詳細部分の決済逆指値の欄が黄色からオレンジ色に変化することで判別できます。
MT4・MT5トレーリングストップ注文と値幅の設定方法
ターミナルウィンドウの「取引」を表示させる
MT4、MT5のターミナルのウインドウ、「取引」のタブをクリックしてください。
MT5はターミナルではなく、ツールボックスと言いますが、ほぼ同じ機能ですね。
ターミナルウインドウが見つけられない場合は
※ターミナルウインドウが無い場合には、設定で表示させる事ができます。
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上にある「ターミナル」のボタンをクリックすれば、ウインドウが表示されます。
POINTターミナルウィンドウのショートカットキーは「Ctrl+T」です。
-
上部のメニューにある「表示」をクリックして、「ツールボックス」をクリックしてください。
POINTターミナルウィンドウのショートカットキーは「Ctrl+T」です。
トレーリングストップを選択
トレーリングストップの表示方法1
取引タブには現在の保有ポジションが表示されています、トレーリングストップを設定したいポジションを選択して、右クリックしてください。
「トレーリングストップ」を選択することが出来ます。
トレーリングストップの表示方法2
チャート内に表示されたエントリーライン(緑)の一点鎖線を右クリックするも、「トレーリング・ストップ」の選択肢が出現します。
トレーリングストップ幅を設定
トレーリングストップを選択し、トレーリングストップの幅を設定します。
単位は1ポイント=0.1pipとなっています。
メニューにない幅の数値を設定したい場合には、「カスタム設定」ができます。
カスタムのウインドウを表示すると、数値を入力することができます。
ここでは最低限の確保が必要なストップレベルも提示されています。
トレーリングストップの設定が完了すると、注文番号左側のアイコンに「T」の文字が追加されます。
既に設定した幅の分の利益が確保された場合は、トレーリングストップによりストップロス注文が自動的に入力されます。
トレーリングストップは、値幅の設定によって利益額も影響があります。
例えば、設定のタイミングや設定する値幅が小さい場合、すぐに決済されてしまい、「小利大損」を招く可能性があります。
一般的に設定されている値幅は「50~80」程のようですが、その設定値は、銘柄やトレンドに大きく左右されるので、よく注意して設定しましょう。
MT4・MT5トレーリングストップの解除方法
ポジションを右クリック
ターミナルウインドウ内の「取引」タブを選択して、解除したいポジションを右クリックしてください。
トレーリングストップを解除する
トレーリングストップを選択して、「無し」を選択すれば解除できます。
解除成功したら、アイコンの小さい「T」は消えます。
複数のポジションを解除したい場合
複数のポジションを解除したい場合は、同じ「取引」タブにあるポジションを右クリックしてください。
そして「トレーリングストップ」を選択して、「すべて削除」をクリックしてください。
確認のウインドウが表示されて、「はい」をクリックすれば今持っているポジションのトレーリングストップ設定が一括解除されます。
この方法はポジションを選択できず、すべてのトレーリングストップが解除されるので、注意してください。
トレーリングストップのよくある質問(FAQ)
スマホのMT4/MT5アプリでトレーリングストップを入れられる?
- スマホのMT4/MT5アプリでトレーリングストップの設定はできますか?
- いいえ、MT4/MT5スマホアプリでは、トレーリングストップの設定はできません。パソコン版のMT4/MT5からのみ設定が可能です。
インターネットに接続していなくてもトレーリング・ストップは機能する?
- インターネットに接続していなくてもトレーリング・ストップは機能する?
- いいえ、機能しません。トレーリングストップはMT4/MT5にログインして稼働させていることが前提です。つまり、インターネットに接続していない場合、トレーリングストップは無効です。
トレーリングストップが機能しないのはなぜ?
- トレーリングストップが機能しないのはなぜ?
-
トレーリングストップが機能しない場合は、2つの可能性があります。
- MT4/MT5を稼働していない場合
- 設定した値幅に達してなかった場合
トレーリングストップはMT4/MT5が稼働している状態でのみ機能するので、まずはMT4をチェックしましょう。
もしMT4が特に問題ない場合、トレーリングストップに設定した値幅に達せずレートが大きく変動した可能性があります。
例えば、40ポイントに設定したが、40ポイント+最低指値幅の利益を確保していない場合は、トレーリングストップのストップ機能が稼働せず損失が発生します。同時にストップロスを設定する事を忘れないようにしましょう。
トレーリングストップの記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう。