ビットコインは2024年、半減期と現物ETF承認という追い風を受け、初めて10万ドルの大台を突破。年間上昇率は130%を超えました。
この急成長する市場で、主要なビットコイン保有企業の動きが注目されています。
順位 | 企業名 | 特徴 |
---|---|---|
1位 | ブラック ロック | 世界最大の資産運用 会社、ETF承認後に 最大保有企業に |
2位 | バイナンス | 世界最大の仮想通貨 取引所、保管業務中心 |
3位 | マイクロ ストラテジー | ソフトウェア企業、 純投資として保有 |
参考:Coinpedia
主要なビットコイン保有企業の中でも特に注目すべきは、ソフトウェア企業でありながら2020年8月から大胆なビットコイン投資を開始したマイクロストラテジーです。4年で株価26倍という驚異的な成長を遂げ、創業者マイケル・セイラー氏は資産100億ドルを超える存在となりました。
なぜソフトウェア企業であるマイクロストラテジーがここまでビットコインに注力するのか。その戦略と影響力について詳しく見ていきましょう。
マイクロストラテジー、企業によるビットコイン投資の先駆者
前述の通り、マイクロストラテジーは世界で最もビットコインを保有している企業ではありません。1位と2位は他の企業が占めていますが、同社はこれらの企業とは全く異なる立場にあります。
例えば、バイナンスはいくらビットコインを保有していても、暗号資産投資家を代表する典型的な存在に過ぎません。また、ブラックロックは市場の個人投資家の意志を象徴しています。一方で、マイクロストラテジーは「企業法人の投資意欲」を体現しているのです。
金融商品への大規模な投資は、短期間で資本を増加させる最も効果的な手段です。マイクロストラテジーによる大量のビットコイン購入は、まさにその先駆けといえるでしょう。同社は資本市場において、株価の急上昇という成功を収めました。
テスラとは異なるアプローチで成功
この成功は、かつてテスラがビットコインを購入した際に利益を得られなかった事例とは対照的です。
マイクロストラテジーの特徴的な点は、単にビットコイン価格の上昇を利益につなげたのみならず、企業の財務諸表、特にバランスシートにおいてビットコインがどのように影響を与えるかを、会計規則の枠組みを通じて明確にした点にあります。
この試みが業界全体に与える影響は計り知れないものです。
具体的な事例として、時価総額世界第2位のマイクロソフトは、株主総会で年間利益の1%から5%をビットコインの購入に充てることを提案しました。最終的にこの提案は否決されたものの、このような提案が株主総会で議論の対象となったこと自体が、非常に意義深い出来事と言えるでしょう。
マイクロストラテジーとは?ビットコインに注力する理由
マイクロストラテジーは1989年に設立されたアメリカのソフトウェア企業で、長年にわたり安定した顧客基盤を維持しながらも、目立った成長や変化は見られませんでした。
しかし、創設者のマイケル・セイラー氏がビットコイン購入を決意したことで、同社はこれまでの延長線上ではない全く新しい方向へ進み始めます。
ソフトウェア企業から仮想通貨のパイオニアへ
マイケル・セイラー氏は、従来のビジネスモデルではこれ以上の成長が見込めないと判断し、また金融緩和により通貨の価値が薄れていく状況の中で、「この先会社が一歩先を行くためには、限られた希少性を持ち、世界的に価値が認められた資産を確保する必要がある」と考えたのです。
このような決断により、同社はビットコインを積極的に購入するという大きな一歩を踏み出しました。
その後、ビットコインの価格が一時6万9千ドルから1万6千ドルに急落した際も、セイラー氏はビットコインを手放すことなく持ち続けています。
そしてマイケル・セイラー氏は、「マイクロストラテジーが十分な量のビットコインを保有すれば、将来的にビットコイン銀行となることができる」と信じています。
この構想は、現在の商業銀行が現金を基に利益を生み出しているのと同様に、ビットコインを他者に貸し出して利息を得る仕組みを目指すものです。
米国財務会計基準審議会は、ビットコインを「長期的な資産」として認識
米国財務会計基準審議会(FASB)は、2024年12月15日以降に始まる会計年度から有効となる新しい会計基準を施行し、企業による暗号資産の購入を後押しする内容を盛り込んでいます。
改訂された基準では、企業はビットコインを「金融商品」ではなく、「長期的な資産」として認識でき、公正価値での評価が可能となります。
これは、従来の投資用金融商品に適用されていた保有制限が、こうした「資産」には適用されないことを示しています。(米国財務会計基準審議会では、企業が本業以外に過度に注力することを防ぐため、財務投資には一定の比率制限を設けていますが、資産の購入には特別な制限がありません。)
このように、マイクロストラテジーは企業によるビットコイン保有の新たな道を切り開いたと言えるでしょう。大企業がマイクロストラテジーに続いてビットコインを購入する動きを見せるか、このような「動向」が、2025年の暗号資産市場で利益を得る鍵になるかもしれません。